美容師からIT業界へ転職したばかりのころ、会社から「VBAエキスパートを取得するように」と言われました。
当時の私はVBAだけでなく、Excel自体もまともに触ったことがありません。
そもそもプログラミング言語が何なのかも、よく分かっていない状態でした。
そんな私でも約1か月半勉強し、VBAエキスパートのExcel VBA スタンダードに合格できました。
資格の知名度はあまり高くなく、取得したことを周りに話しても「何それ?」と言われることがあります。
しかし、私にとっては初めてプログラミングを学ぶきっかけになり、仕事で使うツールを自分で作れるようになった資格でもあります。
この記事では、VBA未経験からスタンダードに合格するまでに行った勉強方法や、使用した教材を紹介します。
資格を取得して実際に役立ったことや、取得する意味があるのかについても正直にお話しします。
※私が受験したのは2019年1月26日です。現在は試験範囲や教材、受験料などが変更されています。この記事では、現在の試験情報と当時の受験体験を分けて紹介します。
VBA未経験から約1か月半でスタンダードに合格した
私がVBAの勉強を始めたのは、2018年12月中旬ごろです。
翌年の2019年1月26日に受験しているため、勉強期間は約1か月半でした。
当時は美容師からITベンチャーへ転職し、社内研修を受けているところでした。
会社から受験するように言われたのがきっかけだったので、自分で資格を探して取得しようと考えたわけではありません。
ベーシックを受験せず、いきなりスタンダードから受験したのも会社の指示です。
当時の私には、VBAの経験もExcel関連の資格もありませんでした。Excel自体も、ほとんど初めて触る状態です。
そのため、最初から公式テキストの内容を理解できたわけではありません。
分からないなりにテキストを読み、実際にコードを書きながら、一つずつ覚えていきました。
試験が終わると、その場ですぐに合格したことが分かりました。結果は9割ほどの合格点でした。

VBAエキスパート スタンダードの試験概要
VBAエキスパートは、ExcelやAccessで使用するマクロとVBAの知識を証明する資格です。
Excel VBAには、基本的な内容を扱う「ベーシック」と、さらに高度な内容を扱う「スタンダード」があります。
現在のExcel VBA スタンダードの試験概要は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題数 | 40問前後 |
| 出題形式 | 選択肢、ドロップダウンリスト、穴埋め記述 |
| 試験方法 | パソコンを使用するCBT形式 |
| 試験時間 | 50分 |
| 合格基準 | 700点以上(1000点満点) |
| 一般受験料 | 14,850円(税込) |
合格基準は、試験問題の更新などによって変動する場合があります。
私が受験した当時の受験料は、13,500円に消費税を加えた金額でした。現在とは異なるため、これから受験する方は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
現在の試験では、プロシージャや配列、ファイル操作、検索、オートフィルター、並べ替え、テーブル、エラー対策、デバッグなどが出題範囲に含まれています。
また、スタンダードには、ベーシックの出題範囲についての理解も含まれます。
参考:VBAエキスパート公式サイト
https://vbae.odyssey-com.co.jp/about/excel_standard.html
合格するために使用した教材
私は公式テキストだけでなく、プログラミング初心者向けの本も使用しました。
試験へ合格するだけなら公式テキストが中心になりますが、当時の私にはプログラミングの基礎から説明してくれる本も必要でした。
当時の公式テキスト
試験対策の中心として使用したのは、VBAエキスパートの公式テキストです。
まずは公式テキストを読み、掲載されているコードを実際にExcelへ入力しました。
当時の公式テキストには、パソコンへインストールして取り組める模擬問題が2回分付属していました。
現在の公式サイトでは過去問題を公開していないと案内されているため、記事や商品説明で「過去問」と書かれていても、公式の模擬問題や演習問題とは分けて考えましょう。
私が所有しているのは、2019年の試験改定より前に使用していた古いテキストです。

現在は試験範囲が変更されているため、これから受験する方は現行版の公式テキストを選んでください。
スラスラ読める Excel VBA ふりがなプログラミング
プログラミング言語自体を知らなかった私には、公式テキストだけでは理解しにくいところもありました。
そこで使用したのが、「スラスラ読める Excel VBA ふりがなプログラミング」です。
この本は、VBAのコードを日本語のように読み進められるように説明しています。
英語や記号が並んだコードを見ても、当時の私は何をしているのかまったく分かりませんでした。
この本ではコードの意味を直感的に学べたため、初めてプログラミングに触れる私にはかなり分かりやすかったです。
試験の問題を解くためだけでなく、「そもそもコードには何が書かれているのか」を知りたい方に向いています。
現在は増補改訂版が販売されています。
Excel VBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本
2冊目の入門書として使用したのが、「Excel VBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本」です。
こちらも説明が丁寧で、VBA初心者でも読み進めやすい本でした。
中盤以降は少し実務寄りの内容が増えていきます。
試験範囲から外れる部分については、無理にすべて覚えようとはせず、資格取得後のステップアップに利用しました。
公式テキストで試験範囲を学びながら、理解できない部分を補ったり、実際の使い方を学んだりする本として役立ちました。
現在は第2版が販売されています。
未経験から約1か月半で合格した勉強方法
私が行った勉強方法は、特別なものではありません。
テキストを読み、コードを書き、分からなかったところを繰り返し復習しました。
地味な方法ですが、VBAを初めて学ぶなら、実際に手を動かすことが大切です。
テキストを読みながら実際にコードを書く
最初は、テキストを読むことと、掲載されているコードを書くことをひたすら繰り返しました。
コードを目で追うだけではなく、実際にExcelへ入力して動かします。
エラーが出たときは、テキストのコードと自分が書いたコードを見比べました。
文字や記号が一つ違うだけで、思ったように動かないこともあります。
最初はそれだけでも大変でしたが、繰り返しているうちに、コードを見てどのような処理をするのか少しずつ想像できるようになりました。
VBAの勉強では、コードを読むだけで済ませず、必ず自分で書くことをおすすめします。
模擬問題で間違えたところを繰り返し復習する
テキストを一周してから、付属していた模擬問題に取り組みました。
問題を間違えた場合は「×」、正解できても自信がなかった場合は「△」を付けました。
その後は、×と△を付けたところを中心にテキストへ戻って復習します。
もう一度模擬問題を解き、また迷ったところを復習するという流れを繰り返しました。
正解したかどうかだけではなく、「なぜこの答えになるのか」を説明できるところまで理解しておくと、本番でも迷いにくくなります。
例題のコードを書けるまで覚える
試験が近づいてからは、最終的に例題のコードを覚えるところまで繰り返しました。
問題文を読んだだけで何を聞かれているのか分かり、例題のコードを見なくても書けるくらいまで復習しています。
ただし、意味を考えずに文字だけを丸暗記したわけではありません。
最初にコードの意味や動きを確認し、そのうえで自然に書けるようになるまで繰り返しました。
意味を理解しないまま答えだけ覚えてしまうと、少し違う形で出題されたときに対応できません。
まずは実際にコードを動かし、そのあとで試験に必要な形を覚えるのがよいと思います。
勉強を始めた最初の2週間は、土日を含めて1日4~5時間ほど勉強しました。
その後は仕事をしながら、平日は1日2時間ほど、土日は引き続き4~5時間ほど勉強しています。
合計の勉強時間は覚えていませんが、短期集中で取り組むなら、VBA初心者でも約1か月半は一つの目安になると思います。
なお、試験直前にはコーヒーを飲み、ミルクレープを食べました。
これが合格に関係したかは分かりませんが、慣れない試験前に少し落ち着く時間を作れたのはよかったです。
実際に受験して感じた難易度
私が受験したのは2019年の試験改定前なので、現在の試験とは出題範囲が異なります。
そのため、ここでは現在の試験内容を断定せず、当時の受験で感じたことを紹介します。
スタンダードでもベーシックの勉強は必要
私は会社の指示でスタンダードから受験しました。
しかし、スタンダードのテキストだけを勉強していると、知らない内容が本番で出てきました。
ベーシックの範囲からも出題されることを、十分に理解していなかったためです。
現在の公式サイトにも、スタンダードの出題範囲にはベーシックの理解が含まれると書かれています。
スタンダードから受験することはできますが、ベーシックの試験範囲まで確認しておいたほうが安心です。
プログラミングもExcelも初めてなら、無理にスタンダードから始めず、ベーシックから勉強してもよいと思います。
本番の時間には余裕があった
本番の問題には、公式テキストや模擬問題で勉強した内容だけでなく、見慣れない内容もありました。
それでも、繰り返し勉強していたこともあり、試験時間には余裕がありました。
試験はパソコンを使用するCBT形式です。
試験終了後、すぐに合否と分野別の結果を確認できました。
当日は有楽町駅付近の会場で受験しましたが、会場の場所が少し分かりにくく、たどり着くまでに苦労したことを覚えています。
初めて行く会場で受験する場合は、試験開始時刻だけでなく、建物の場所や入口まで事前に確認しておきましょう。
VBAエキスパートは取得しても意味ない?
VBAエキスパートについて調べると、「取得しても意味がない」という意見を見かけることがあります。
私自身、資格を取得しただけで、すぐに実務的なツールを作れるようになったとは思っていません。
それでも、取得したことを後悔はしていません。
資格の知名度はあまり高くない
正直にいうと、VBAエキスパートの知名度や資格としての権威性は、あまり高くないと感じています。
資格を取得したことを周りに話しても、「何それ?」と言われることがありました。
一生懸命勉強して取得したので、何の資格か分かってもらえないのは少し悲しかったです。
私の場合は会社から取得するように言われていたため、社内では評価してもらえました。
給料アップにつながり、合格一時金も受け取っています。受験料についても、合格後に申請することで会社から支給されました。
ただし、どの会社でも同じように評価されるとは限りません。
転職や昇給だけを目的に取得する場合は、勤務先や応募先で資格が評価されるか確認したほうがよいでしょう。
資格を取るだけでは実務で使えるようにならない
資格試験の勉強では、VBAの文法やコードの読み方を学べます。
しかし、資格へ合格しただけでは、実際の仕事で何を自動化すればよいのかまでは分かりませんでした。
覚えた機能にどのような使い道があるのか、別の書籍やインターネットで学ぶ必要があります。
資格は、実務で使えるようになるための完成地点ではなく、基礎を身につけるための入口だと思います。
基本的には、資格よりも実務経験のほうが評価されやすいでしょう。
ただし、未経験で転職した直後のように、まだ実務経験を積めない状態なら、学習の目標として資格を取得する意味はあります。
Excelの自動化やプログラミング学習には役立った
資格取得後は、VBAを使ってさまざまなツールを作りました。
たとえば、次のようなツールです。
- 画面キャプチャをExcelへ貼り付け、日時も入力するエビデンス作成ツール
- サブフォルダを含めてファイル名を一括変更するツール
- マウスを自動的に操作するツール
- 店舗ごとの売り上げを一括計算するツール
マウスを自動操作するツールについては、以下の記事でコードや作り方を紹介しています。

VBAを使えば、コピーや貼り付けなど、Excelで繰り返している操作も自動化できます。
基本的なコピー、切り取り、貼り付けの方法は、以下の記事で紹介しています。

VBAは、私が初めて触ったプログラミング言語でもあります。
その後にJavaScriptやJavaを勉強したときも、変数や条件分岐、繰り返し処理などの考え方を理解するうえで役立ちました。
Excelがあればすぐにコードを書けるため、難しい学習環境を用意する必要がないことも初心者には大きなメリットです。
Javaなどは、最初に開発環境やコンパイルについて理解する必要があります。
何から始めればよいか分からなかった当時の私にとって、普段の仕事でも使われているExcelからプログラミングを始められたことには大きな意味がありました。
VBAエキスパートをおすすめできる人
VBAエキスパートは、すべての人が取得するべき資格ではありません。
資格の知名度だけを考えると、あえて取得を狙う必要がない方もいると思います。
それでも、次のような方には勉強する価値があります。
- 仕事でExcelを使用する機会が多い方
- 毎月同じ作業を繰り返している方
- Excelの作業に時間を取られている方
- プログラミングを初めて勉強する方
- 未経験からIT業界や事務職を目指している方
- 目標がないと勉強を続けにくい方
特に、毎月同じExcel作業を繰り返して疲れている方には役立ちます。
VBAの考え方を身につけると、「この作業も自動化できるかもしれない」と考えられるようになります。
事務職ではExcelを使う機会が多いため、学んだことを仕事へつなげやすいでしょう。
エンジニアにとって必須の資格ではありませんが、勤務先や取引先でExcelを使用しているなら、それなりに役立つ場面があります。
反対に、仕事でも私生活でもExcelを使う機会がない方は、無理に取得する必要はありません。
資格を取得すること自体ではなく、学んだVBAをどこで使うのかまで考えてから受験しましょう。
初心者はベーシックとスタンダードのどちらを選ぶべき?
私自身は、ExcelもVBAも未経験の状態からスタンダードへ合格しました。
ただし、これは会社からスタンダードを受験するように言われたためです。
これから自分で選ぶのであれば、完全な初心者はベーシックから始めてもよいと思います。
スタンダードはベーシックへ合格していなくても受験できます。
しかし、スタンダードの出題範囲にはベーシックの内容も含まれています。
いきなりスタンダードへ挑戦する場合も、ベーシックの範囲を飛ばしてよいわけではありません。
まずはベーシックの内容を勉強し、そのままスタンダードまで続ける方法もあります。
すでに仕事でVBAを使っていて、変数、条件分岐、繰り返し処理、ブックやシートの操作などを理解している方は、スタンダードから受験してもよいでしょう。
どちらを選ぶ場合も、テキストを読むだけではなく、実際にコードを書いて動かすことが大切です。
まとめ
私はExcelもVBAもほとんど触ったことがない状態から、約1か月半勉強してVBAエキスパートのExcel VBA スタンダードに合格しました。
最初の2週間は毎日4~5時間、その後は平日2時間、休日4~5時間ほど勉強しています。
テキストを読むだけではなく、実際にコードを書き、模擬問題で間違えたところを何度も復習しました。
資格の知名度はあまり高くなく、取得しただけで実務的なツールを作れるようになるわけでもありません。
それでも、私にとってはExcelの作業を自動化し、ほかのプログラミング言語を学ぶきっかけになりました。
会社からの評価にもつながり、取得したことを後悔していません。
仕事でExcelを使っている方や、毎月同じ作業を繰り返している方には、VBAを学ぶ価値があります。
資格を取得することだけを目的にせず、学んだことを実際の仕事でどのように使えるか考えながら勉強してみてください。

